事例集
彦名の家
キッチンを建物の中心(構造上の重心位置でもあります)に据えて、そこから放射状に各室が繋がる平面・空間構成を持つ住宅です。
吹抜を設けた場合、春から秋にかけては、「暖められた空気は、軽くなって上昇する」 特性を利用して、室内上部に溜まった熱気を吹抜経由で室外に追い出す(逆に1階は、室外からの空気を室内に招き入れる、つまり、風を呼び込める)利点があるのですが、その反面、冬には室内で暖められた空気が上昇することで、1階足元の「底冷え」の原因のひとつにもなり得ます。本計画では、冬場、薪ストーブで暖められた室温が上下階で均一になるように、吹抜上部にシーリングファンを設け、上昇する暖気を一階へ吹き戻し、加えて2階上部から1階床下へ通ずるダクト(に、カウンターアローファンを組み合わせたユニット)を設置して、1階へ吹き戻し切れなかった2階暖気を床下へ吹き込み、「空気式の床暖房システム」を構成しています。当初、動線を明確に分離する意図で、通用口の先に手洗室を設けたのですが、図らずも竣工時(2021年)に求められる防疫に沿ったものとなったこの配置は、以降も引き続き留意すべきであろうと考えています。